「悩んでいる姿を見ているのが辛い…」
「今まであんなに楽しそうに野球をやっていたけど、今は苦しそう…。」
子どもがイップスになり、思うように野球を楽しむことができなくなった保護者の方は、見ているのが辛いですよね。
ただ、なってしまった本人はもっともっと辛く、苦しい思いをしているでしょう。
何を隠そう、私がそうだったのでよく分かります。
私は小学生のころから野球をはじめ、ずっとピッチャーでしたが、高校2年の春にイップスになり、それ以降、まともに投げることができず、高校野球を終えてしまいました。
私自身、イップスを克服することはできませんでした。
しかし、親に励まされ、何とか、高校野球をやめずに頑張り続けることができたことは、今思えば非常に良かったと感じています。
ただ、悩んでいたのは僕だけではなく、親も一緒になって悩んでくれていたようです。
確かになんて声を掛けたらいいか難しいですよね。
そこで今回は、子どもがイップスに悩む保護者の方は、どのように声を掛け、接してあげたらよいかをお話していきます。
Contents
そもそもイップスって何?
野球でいうイップスとは、投げる際に腕が震えたり硬直したりしてしまい、思うようにボールを投げられないことです。
現在は大リーグで活躍している藤浪投手も、阪神時代はイップスになり、思うようにボールが投げられずに苦しんでいました。
実はメジャーでも活躍したイチロー選手や元中日ドラゴンズの鉄壁の内野手荒木選手、現在巨人の中継ぎとして活躍している高梨投手もイップスの経験者です。
プロ野球選手の中にもイップスで苦しんだ選手が意外にいるんですね。
ポジションもピッチャーだけでなく、内野手、外野手とすべてのポジションにわたっています。
この状態になったらイップスだという明確な定義はなく、未だ明確な治療法もありません。
イップスは、精神的なものが大きな原因を占めると言われています。
藤浪投手も、頭に死球を当ててしまって以降崩れてしまった印象があります。
しかし、本当に分かりません。
イップスになった私自身、大きな原因が思い浮かばないです。
私が異変を感じたのは練習のはじめに行うキャッチボールときです。
キャッチボールって近い距離から始めるじゃないですか。
いつもと同じようにボールを投げ始めたら至近距離でバウンドしちゃったんです。
「おいおい、しっかり投げろよ(笑)」
「ごめんごめん(笑)」
そんなやり取りをしていたんですが、次のボールも次のボールもバウンド続き、これ以降苦しい道のりでしたね…。
イップスは「完璧主義の選手・真面目過ぎる選手・心配性な選手」がなりやすいようです。
自分の思い描く姿とのギャップに悩みすぎてしまうのが原因でしょうか。
この中で言えば私は「心配性」というのが当てはまっているかもしれません。
このころ少し投球フォームに悩んでいた時期でした…。
プロの選手だけでなく、私のように高校生も、そして中学生、小学生もイップスで苦しんでいる人も多いと思います。
正直、イップスはめちゃくちゃ苦しいです。
今まで楽しめていた野球が一気に嫌いになりかけます。
体験した私はその思いがよく分かります。
子どもがイップス親はどうすればいい?
お子さんの姿を見ると、保護者の方もなんとも言えない苦しい気持ちになるでしょう。
先日、私も親と高校生のころの話をする機会がありましたが、「あの時はどうすればいいか分からなかったよ~」なんて言われました。
それでも、私は一度心が折れかけながらも野球を続け、最後は不格好ながらもマウンドに上がることができましたので親には感謝しています。
なぜ、野球を続けることができたのか、親にどのような対応をとってもらっていて、それがどうだったのか、体験をもとに親がどのように接するべきか話をしていきます。
子どもの悩みは人それぞれ違うので、すべての人にあてはまる対応かは分かりませんがぜひ最後までお読みください。
うまくいっていない姿を決して否定しない
「否定なんかするわけないじゃん…」
なんて思われそうですが、先ほど述べたように、イップスは精神的な要因が大きいものです。
そのため、この時期はナイーブになっていますので、ちょっとしたことでも「否定された」「また、嫌なことを言われた」なんて思いがちです。
「いつになれば治るんだ、治るように努力しろ。」なんて言葉はもってのほかですが、「今日も腕があまり振れなかったね。」など、ふとした一言も気になってしまいます。
うまくいっていないことはおそらく自分自身が一番分かっています。
それなのに家族にまでそのことを言われてしまっては悩んでしまうばかりです。
とにかく悩みを和らげてあげることが一番大切です。
子どもが頑張っている部分に目を向け、そこを思い切りほめてあげましょう。
「○○君はすごいね」なんて言葉も控えた方がいいかもしれません。
「○○はあんなに活躍しているのに自分は…。」なんて思ってしまうこともあるかもしれません。
野球の話を自分からしない
イップスで悩んでいる時には野球のことは考えたくないという子も多いはずです。
そんな時に家族の会話が野球ばかりだと忘れたくても忘れられません。
それでは、かわいそうですよね。
できる限り野球の話は控えた方がいいかもしれません。
好きなテレビ番組の話など、家族全員が明るくなるような話題を中心に取り上げましょう。
ただ、本人が悩みを口にしだした際には、十分話を聞いてあげましょう。
せっかく悩みを打ち明けてきてくれたのに野球の話からすぐに話を切り替えてしまっては逆にかわいそうですよね。
あくまで、こちらから野球の話は控えるというスタンスです。
少し野球からは離れ、学校の出来事などに話の矛先を向けてあげましょう。
野球をやっている間は本人も気持ちが前に向きにくいです。
だからこそ、家族といるときはやっぱり落ち着くといった気持ちにさせてあげることが大切です。
野球以外のことでも指摘を控える
この時期は私生活も乱れがちになってしまうかもしれません。
まさに、私がそうでした。
野球がうまくいっていないため、何をやってもうまくいかない気がしてしまうのです。
勉強をしても少し分からなければイライラし、家の手伝いをするのも面倒に感じ…。
親の人からしたら「せめて勉強くらいはしっかりやってほしい」「だらしない生活をやめてくれないと困る」そう思いますよね。
きっと私の親もそうだったと思います。
でも、少し我慢して見守ってあげる期間も必要かもしれません。
もちろん、野球がうまくいっていないことを長期にわたって言い訳にするのは良くないです。
それは絶対にダメだと思います。
でも、悩んいる最初のうちはそっと見守ってあげましょう。
「今は野球で大変だもんね」そんな気持ちでいてあげてください。
野球でも悩み、勉強のことも言われ、私生活まで口を出され…
これではすべてが嫌になってしまいます。
まとめ
イップスになってしまうと、非常に悩みます。
そんなとき、家族の支えは非常に大切であり、ここがうまくいかないと治すことも難しくなります。
(1)うまくいっていない姿を否定しない。
頑張っている部分を見つめ、自信をつけてあげる。
(2)野球の話を自分からしない。
(3)初期の段階では、野球以外の指摘を控える。
このあたりを意識してもらえたらと思います。
私自身今振り返ってみてもイップスに悩んだ1年間は非常に苦しかったです。
何度も何度も辞めたいと思っていました。
でもせっかく続けてきた野球を辞めるのはもったいないし、何より仲間と頑張ることは苦しかったけど楽しかった。
今思えばあの1年間は自分を成長させてくれた期間だったと思えます。
最後にマウンドに立つことができたあの試合は今でもよく覚えています。
今、悩んでいるお子さんを見守るのは非常に切なく、苦しいかと思います。
それでも、頑張る子どもを温かく励まし続けてほしいです。
万が一野球でうまくいかなくても、頑張った期間には意味があったと思える日が来るはずです。
お子さんが復活し、また楽しく野球をする姿を見せてくれる日がくるのを願っています。
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